
今月は、クラフトとカルチャーが静かに交わる場所へ。
20年という時間をともに走り続け、互いの感覚を積み重ねることで、友情をひとつの物語へと育ててきたJeremy TagandとDare Jennings。彼らは今日もまた、言葉ではなくモーターサイクルを通して会話を続けています。
Deusに新たな風を吹き込むAJにも会いました。その視点は、これから向かう未来を映し出しながらも、どこから来たのかを決して忘れません。
そして、Kumpul-Kumpulを追いかけながら街から街へ。そこで改めて気づかされるのは、本当に強いコミュニティは目的地で生まれるのではなく、道中で出会い、集う人たちによって育まれるということ。
それぞれの物語に流れるのは、ひとつの変わらない衝動。
意志を持ってものをつくること。
惜しみなく分かち合うこと。
そして、訪れた場所を、ほんの少しだけ豊かな場所にして去ること。
Until August,
The team at Deus

#1 Jeremy & Dare ― ワークショップで交わす、終わらない会話
時間をかけて噛み合っていく関係もあれば、最初から自然とハマる関係もある。
Jeremy TagandとDare Jenningsは、出会ったその日から後者だった。モーターサイクルへの尽きない情熱。ものづくりへの実直な姿勢。そして、何より自分たちを必要以上に深刻に考えないこと。言葉にしなくても通じ合う感覚が、そこにはあった。
Workshopを率いるJeremyと、Deus共同創設者のDare。約20年にわたり、彼らはバイクをつくり、ときにはDeusのあらゆる難題を片づけながら走り続けてきた。
そして今も、その関係は変わらない。
手を動かし、新しいアイデアを形にしながら、自分たちらしい足跡を刻み続けている。
今回の主役は、DareのBMW GS。Jeremyの手によって、SKDAのカスタムキットをまとい、新たな表情を手に入れた一台だ。
ビルドの裏側を語り始めたふたりの会話は、やがてグラフィックやモーターサイクルの話を飛び越え、ワークショップに積み重ねられた思い出や逸話へと続いていく。
それは、Deusという場所の中心で、20年近く育まれてきたパートナーシップの物語でもある。

#2 The New Guard ― Deus Assistant Designer・AJ
── Deusの一員になって、一番驚いたことは?
卒業してすぐにDeusへ飛び込んだことは、自分にとって何よりの学びでした。
サンプリングやフィッティング、生地や付属の開発、そして日々の問題解決まで。一着のプロダクトが生まれるまでには、想像以上の対話とクラフトマンシップが積み重なっています。
そのプロセスを間近で見てきたことで、クリエイティビティ、機能性、そして品質のバランスを取ることの大切さを知りました。細部へのこだわりと、チームでつくり上げる姿勢。その積み重ねが、本当に意味のあるプロダクトを生み出しているんだと思います。
── 今、頭の中を占めているものは? それはデザインにどう影響していますか?
僕のデザインは、映画や音楽、ファッション、そしてさまざまなビジュアルカルチャーから影響を受けています。
異なる表現が、スタイリングやディテール、ストーリーを通してアイデンティティを築いていく。そのプロセスに惹かれるんです。
特に好きなのはコントラスト。
柔らかさと力強さ。
ノスタルジーと現代性。
洗練されたディテールと、少し反骨的なムード。
『The Crow』や『Coraline』、『10 Things I Hate About You』、『Blade Runner 2049』、Noah Kahanの『The Great Divide』、そして子どもの頃に夢中だったMonster Highまで。
そうしたさまざまなインスピレーションが重なり合い、着る人の個性に寄り添う、ストーリーのある服づくりにつながっています。
── あなたの感性を知るなら、何を観て、聴いて、読めばいい?
ひとつだけ挙げるのは難しいですね。
僕の感性は、いつも意外な組み合わせの中にあります。決まったスタイルに縛られるより、異なる要素を混ぜ合わせ、その間にあるつながりを見つけることに惹かれます。
映画なら『Coraline』や『Edward Scissorhands』が持つ独特な世界観。
音楽ならNoah KahanからRob Zombie、The All-American Rejectsまで。
本なら『The Virgin Suicides』、『Cleopatra and Frankenstein』、『Hardly Strangers』。
どれも、それぞれの個性や複雑な人物像を描いていて、自分が惹かれる世界観につながっています。
自分の好みを言葉にするなら、
空気感があって、どこか懐かしく、少し意外性があること。
そんな異なる要素が重なり合って、ひとつのキャラクターをつくっているものに惹かれます。

#3 Notes From the Road
Kumpul-Kumpul。
インドネシア語で、その意味はシンプルに「集まること」。
始まりも、いたってシンプルだった。
Baliの裏道をゆっくり流すために、いくつかのガレージとライディングクルーがDeus Templeの仲間たちと集まった。ただ、それだけのこと。
そこからKumpul-Kumpulは、街から街へと旅を続けるコミュニティへと育っていった。
最初の朝、Cangguに集まったライダーはほんの数十人。
今ではJakartaの街を800人以上が埋め尽くすまでになった。
規模は変わった。
けれど、この場所に流れる空気は何ひとつ変わっていない。
開催される街ごとに、その街らしいリズムが生まれる。
地元のガレージが先頭に立ち、ライドをリードする。
アーティストはライブピンストライプや壁画、スケッチで足跡を残し、エンジンの音が静まる頃には、今度はミュージシャンがその場を引き継ぐ。
集まるマシンも実にさまざま。
ハンドメイドのカスタム、ヴィンテージバイク、Vespa、そして毎日をともに走る相棒まで。
さらに、その土地ならではのコミュニティも自然と輪に加わっていく。
Baliではシングルスピードバイクのクルーが。
JakartaではSunset Drive Clubが、初めて四輪を引き連れてパレードに加わった。
Kumpul-Kumpulは、決まった形を押しつけるイベントではない。
それぞれの街が、それぞれのやり方で自分たちらしさを表現できる場所をつくること。
BaliからJakartaへ。
そしてBandungへ。
旅はまだ続く。
Next stop: Yogyakarta.

#4 Plane & Simple|Eddy Hamaty、初めてのハンドシェイプ。
「ほとんどのサーファーは、一本のボードがどうやって生まれるのかを知らない。シェイプはもちろん、ボードづくりの本当の工程なんてなおさらだ。正直に言うと、自分はわかっているつもりだった。じゃあ、プレーナーを手に取って確かめてみよう。Plane & Simple...そんなに簡単な話なのか?」
Eddy Hamatyが人生で初めてハンドシェイプに挑む。
思い通りに削ったのか、それとも偶然が形になったのか。その曖昧な境界線を行き来しながら生まれた一本は、最後に海の上で答えを出してくれる。