集合場所は、イタリア・ミラノの玄関口、マルペンサ国際空港のすぐ近くにある歴史あるオフロードコース/Ciglione della Malpensa。そこに160人の参加者が集まりました。彼らは、近代的なエンデューロマシンや、ちょっと古いオフロードバイク、それに1980年代から90年代に掛けてパリ〜ダカール・ラリーに参戦したマシンのようなビッグオフローダーに、いわゆるアドバンチャーバイクまで多種多様なマシンに跨がってやって来ました。なかには女性ライダーの集団も、エントリーリストに名を連ねました。2021Deus Swank Rallyには、2000年以前と2000年以降、そしてそれ以外の、3つのクラスが用意されています。そして初日はエンデューロコースの周回タイムでスタートグリッドを決め、2日目はその順位からスタートしてジェノヴァまでの道のりを競い、翌日からは地中海に浮かぶサルディーニャ島で2日間もオフロードを楽しむ、全4日間の日程で行われました。
Day1 前夜は雨が降り、路面コンディションを悪化させたことがタイムトライアルを面白くしたことは言うことまでもありません。何台ものマシンが深い泥にスタックしてしまったり、泥にまみれて戻ってきたライダーが誰だかわからなかったり…でもなぜか、参加者全員、笑顔なんです。その笑顔は夜も続き、 AppleJacksのDJを楽しみながら、ライダーたちは明日に備えてビールという燃料を大量に補給したのでした。
Day2今日こそが、本当のレースDayなのです。地中海に面した港町/ジェノヴァまでの約250kmの道のりを競うラリー形式のレースです。その中間地点に、12kmにおよぶスペシャルステージでタイムを計測。そしてアペニン山脈を抜け、イタリア最長のポー川とその支流であるティチノ川に沿ったポー平原の田園を抜けると、フラットダートが広がっています。ここはオフロードLoverたちにとって、まさに楽園。そこからしばらく走ったマルカロロハッツ自然公園は、ジェノヴァの街を囲うようにそびえ立つ山のなかにあり、地中海とジェノヴァの街並みを望むことができます。その美しい景色を堪能したら、曲がりくねったワインディングを下り、サルディーニャ行きの船に乗ればDay2が終了。ビール片手に、またまたパーティの始まりまです。
Day3 サルディーニャの古いオリーブ畑と防火帯を抜ける約28kmのスペシャルステージを含む、アルボレアの街から出発しアルボレアに戻ってくる220kmのコース。だからさっさと走り終えてプールやビーチを楽しむライダーも、ピナシス砂丘やブッジェッルとボーザのビーチという素晴らしいコースをゆったりと楽しむライダーも居ました。夜は各クラスの表彰式を行いましたが、誰が勝ったかは、さほど重要ではありません。Swank Rallyのいいところは、どんなキャリアのライダーでも参加できること。かつてダカール・ラリーに参加したプロのラリーストも、エンデューロレースの世界ランカーも、もちろんアマチュアだって同じ土俵でレースを楽しむことができるのです。
Day4 最終日はアルボレアを出発し、アルゲーロを抜けて、ポルトトレスの港に向かう、サルディーニャ島の西側を約330km走るコース。この日のスペシャルステージは砂丘の中にあり、多くのオフロードファンが憧れた、砂丘を走る本物のラリーライダーになった気分を味わうことができました。もちろん、目印が無い砂丘のうえで方向感覚を失い右往左往する、困惑するラリーライダーの気持ちも体験することができました。そしてフィナーレは、参加者全員で楽しむアルゲーロの街でのランチです。ゴールのポルトトレスの港までは少し距離がありますが、砂漠を走った余韻に浸りながら美味しいランチを頂く。走ることだけに集中しすぎない、それこそがSwank Rallyの醍醐味でもあるのです。
Day5 Swank Rallyとはレースの名称ではありません。スポーツ、とくにオフロードライディングへの熱い情熱、同じ情熱を持つ仲間との友情、その友と走るかけがえのない時間…とにかく自分の好きなことを追求したいというあくなき探究心こそがSwank Rallyなのです。来年は、これを見ている新しい仲間と素晴らしい時間を過ごせることを、いまから楽しみにしています。
Words: @ottaviomissoniPhotos: @bearoll and @fotograficasestriere
Video by @bearoll