Art 9T

Art 9T

カフェレーサー・バイクの製作は、僕たちデウス・シドニーのカスタムチームにとっては、さほど難しいことではありません。でも、このBMW R nineT(アール・ナインティ)をベースにしたカフェレーサーカスタムの製作は、なぜか新鮮な感じがしました。

有名なレーシングドライバーで、自動車のエンジニアで、かつてF1チームも率い、ロータルというスポーツカーのブランドを造ったコーリン・チャップマンによると、カフェレーサーの本質は「simplify, then add lightness/すべてをシンプルにせよ。加えるのは軽さだけでいい」という彼の言葉に集約されています。

だから、オーナーのアルテムから、2014年型BMW R nine Tを、クラシックなスタイルと現代技術を組み合わせ、洗練されたカフェレーサーを作って欲しいという依頼を受けたとき、僕たちはすぐに、そのコーリン・チャップマンの言葉を思い出したのです。

ベースバイクであるR nineTのトレリスフレームを美しく見せると言うことは、オーナーのアルテムのオーダーのひとつでもありました。そこでデウス・シドニーのメイン・カスタムビルダーであるジェレミー・タガントは、1980年代のスズキGS1100に搭載されていた、スポーティな燃料タンクをチョイス。その燃料タンクは、@kansai_giantによって、フレームに面する凹部分を大きく改造。フレームに深く収まるようにデザインするとともに、フューエルインジェクション搭載車に不可欠な燃料ポンプや、エンジンをコントロールするECUABSモジュールをタンク下に収納しました。

新たに製作したシート下のサブフレームは、タンク後方からシームレスに伸びているかのようにデザイン。シートカウルの最後尾が、リアアクスルの真上にくるように設計し、車体がコンパクトに見えるように計算されています。新しいシートベースの下には、R nineTを走らせるために必要な電装類を配置。またフレームのステアリングヘッドステムの下には、オイルクーラーを装着するためのマウントを新たに製作。そこに、より小さなホンダ製オイルクーラーユニットをセットしました。

ワンダーリッヒ製のナンバープレートホルダーとケラーマン製 @kellermann_company Atto DFウインカー、それにスポーティなライディングポジションを造り上げるSato Racing製のステップセットも装着しました。
ART9T(アート・ナインティ)」と名付けた車体の外装類がまとまったところで、それに似合うよう、ホイール、タイヤ、ブレーキ、サスペンションといった足周りもアップグレードしたくなりました。

そこで、ホイールはスポークホイールのスペシャリスト/アッシュ・スポーク・ホイール@ashspokedwheelzに送り、17インチから18インチに前後ホイールのサイズをアップ。フロントサスペンションは、ショック・トリートメント・サービス @shock_treatment_suspension によってスタンダードのアウターチューブを酸化処理して、シックな雰囲気にまとめるとともに、サスペンションをオーバーホールして、本体持つ高い性能を維持しました。ブレーキは、キャリパーもマスターシリンダーも、フランスのブレーキブランド/ベルリンガー製@beringer_brakes_officialにアップグレードしました。

コクピット周りも、凝りました。トップブリッジはCNC加工を施したRicci Engineering製、デジタルメーターはモトガジェット製 @motogadgetMotoscope Pro角度が調整できるクリップオンハンドルはベルリンガー製@beringer_brakes_officialKTMのスーパースポーツモデルRC8用のスロットル、そしてモトガジェット製 @motogadgetのミラーとバーエンド型のウインカーをセットしました。ヘッドライトは、純正の7インチから5.75インチのベイツタイプに変更。CNCグリップにはグリップエーススイッチを装備し、左手のコントロールパッドでスイッチ類を操作します。

カスタムメイドの2本出しのドラッグパイプにはインナーバッフルを取りつけ、その見た目のから想像が付かないほどジェントルな音量で、なおかつBMWのフラットツインらしい排気音を演出。オーナーのアルテムの近隣住民も、これでハッピーになるでしょう。吸気系にはDNA製ステージ3フィルターキットを装着。エンジンに送り込むガソリンの混合気を、コンピューターを使って変更することができるダイノジェット製パワーコマンダー5で、各変更した吸排気系に合わせたセッティングも行いました。

エンジンのドレスアップには、ローランドサンズデザイン製 @rolandsandsdesignのロッカーカバーや、イタリア・リゾマ製@rizomaの、エンジン前側のベルトカバーと、そこにデザインした砂型鋳造のDeusバッジがエンジン周りのスタイリングを引き締めました。

最後の仕上げは、ビルダーの仕事を封じ込めるために、パウダーコートや塗装を施し、シートはBad Arese Trim co @badarsetrimcoDaveが仕上げた美しいシートを載せて完成です。

Build: jeremy.tagand
Photos: kenyonbatterson
Words: cam.rogerss


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