DEUS BERETTA  ベレッタ

DEUS BERETTA ベレッタ

 イタリアン・バイクと聞くと、緻密に計算された尽くしたデザインワークで、気軽にカスタムに着手できない、ちょっとスノッブな雰囲気を感じてしまうかもしれない。でもデウス エクス マキナ ジャパンのカスタムビルダーである添田智之の手にかかれば、アメリカンバイクのようなオープンでカジュアルなマインドを持ちながら、イタリアンらしい繊細さもキープした、「BERETTA/ベレッタ」と名付けたこのマシンのようなバイクへとトランスフォームしてしまう。

 ベースマシンは1980年式のモトグッツィV50。エンジンはもちろん、メインフレームやスイングアーム、フロントフォークなど車体の基本骨格はスタンダードのままとしながら、燃料タンクやヘッドライト周り、リアフレームとシート&シートかカウル周り、そしてFCRキャブレターやオリジナルのエキゾーストパイプを装着することで、レトロでタイニーなカフェレーサーを作り上げた。

 スモールブロックのモトグッツィ製縦置きV2気筒エンジンを強調するため、スリムな燃料タンクを製作。またシリンダーから突き出るエキゾーストパイプを左右に張り出し、ライダーがマシンに跨がったとき、タンク越しに見る左右のシリンダーヘッドの存在感を高めている。

 シートやシートカウルで構成する車体後ろ側は、モトグッツィであることを強調した車体前側とは違い、カスタムバイクらしいスリムさと繊細さを追求した。シートやシートカウルを載せるリアフレームは、元々のフレームラインよりもスリムに造り替え、エンジン後端のフレームマウントを兼ねた、逆台形型をしていたフレーム後端のレイアウトも変更。車体を横から見た水平ラインと、上から見たマーメイドラインの、2つのボディラインを手に入れている。またシートカウルは、スチールパイプで組んだフレームの空間にアルミ板でパネルを貼り合わせてデザイン。そのパネルにうねりを持たせることで、有機的なボディ曲面を構成してる。

 実はモトグッツィは、今年/2021年に創業100周年を迎えた。この「BERETTA/ベレッタ」は、そのアニバーサリーにあわせ、製作したマシンだ。

 現存するイタリア最古のバイクブランドであるモトグッツィは、かつてはレースシーンで名を馳せ、アイコンであるイタリアン・イーグルは最強バイクの象徴だった。縦置きV2気筒というユニークなエンジンレイアウトを採用した1960年代後半からは、2気筒エンジン搭載マシンで争われるレースで強さを発揮すると同時に、カスタムシーンにおいても多くのカスタムバイクビルダーがキャンバスとしてモトグッツィを選び、数々の名車が誕生している。

 ベースマシンに選んだ「モトグッツィ V50」は1977年にデビュー。350ccから750ccまで幅広い排気量バリエーションを持つ、モトグッツィのスモールブロック・エンジンの代表モデルである。850ccから1000ccのビッグブロック・エンジンを搭載したルマン系モデルとは、エンジンもフレームも、その基本骨格が異なるモデル。エンジンを高回転まで目一杯回して走ることができる、軽量でスリムなV50のファンは世界中に存在する。

 そんなキャンティクラシコ(イタリアを代表するワイン)を、デウス的なカスタムスピリットと、日本的な侘び寂び/わびさびでまとめ上げたのが「BERETTA/ベレッタ」なのだ。

ビルダー  添田智之 

文   河野正士 

 

DEUS BERETTA  

Yes, an Italian bike!  When you hear the term, you may imagine a high brow attitude and a machine difficult to customize due to its well-thought-out sophisticated design.  In the hands of Deus Ex Machina Japan’s bike builder, Tomoyuki Soeda, however this customized motorcycle named the "BERETTA" has been transformed into an open and casual mindset ride like an American motorcycle, that keeps the delicacy of fine Italian food.

The donor, a 1980 Moto Guzzi V50, with engine, main frame, swing arm, and front fork configuration kept standard, Soeda directed his customizing handy work into the fuel tank, rear frame, headlight area, seat & seat-cowl areas.  Along with the installation of a modified FCR carburetor, original header pipe and silencer a pocket retro cafe racer was created.  A slim fuel tank was created to accentuate the Moto Guzzi ''Small Block'' V-twin motor, so when straddling the machine, the rider has an enhanced view of the symmetrically protruding exhaust pipes from the twin cylinder heads.  The rear end consisting of the seat and seat cowl, pursues a slimmer and more elegant redesign than the original frame line and contrasts to the distinct Moto-guzzi style front end creating two distinct body lines when viewed horizontally from the side, compared to a mermaid contour line when viewed from above.  The seat cowl is steel tube construction like a Ducati trellis frame concealed by welded aluminum panels.  The handmade construction gives the curved surface an organic look and feel. 

"Moto Guzzi V50" has fans globally due to its lightweight, slim frame, and ability to run at high revs, originally debuted in 1977 and was the small block representative for Moto Guzzi with a displacement range from 350cc to 750cc.  Moto Guzzi, the oldest surviving motorcycle brand in Italy, was famous in the racing scene, and the Italian Eagle icon was a symbol of the strongest motorcycle.  This "BERETTA" custom build is to commemorate Moto Guzzi’s 100th year anniversary of Motorcycle excellence. 

Built by Tomoyuki Soeda  
Text by Tadashi Kono
Deus Ex Mchina Japan Instagram