デウス・スワンク・ラリー・ディ・サルディーニャ2023
今年の私たちは超ラッキーだった。スワンク・ラリー・ディ・サルディーニャのラスト・エディションで、とんでもないライダーが我らのチームに加わったのだ。それは他ならぬミスター・フォレスト・ミンチントン。彼は、燃料満タンでイタリアの冒険に乗り込んだ。今回は、彼が語ってくれたその時の物語をお届けしよう。
「スワンク・ラリー・ディ・サルディーニャは、モダンとヴィンテージ両方のバイクに乗る紳士淑女のためのレース。参加者は、単気筒でも多気筒でも、自分の好みに合わせて何に乗るかを選ぶことができる。
ミラノ郊外からスタートし、街路、裏道、農地、小さな路地、歩道を駆け抜ける。もう少し刺激的な走りを望む人たちのためにハンドルに括り付けられている頼もしいナビゲーション・ツールは、古き良き紙のロールチャート。別名「ロードブック」と呼ばれるそのシステムは、まるで高速で走りながら小説を読むようなものだ。ロードブックに正確に従い、地元の交通渋滞の中をちょこまか走り、奇妙な牛を避け、時々カプチーノを飲みながら走り続けると…その努力の結晶として上陸するのは、美しいイタリアのサルディーニャ島。壮大な時代にタイムスリップしたかのようなその光景は、オリーブの木々から透き通った海の入江まで、どこを切り取っても絵葉書のような景色と雰囲気に満ちている。
さて、このラリーは新しい試みというわけじゃない。実は、1980年代にまで遡る。スワンク・ラリー・ディ・サルディーニャは、今は神話となったラリー・ディ・サルディーニャの灰から生まれたもので、ヨーロッパ大陸以外でオーガナイズされた初の“アフリカの”ラリーだった。過ぎ去ったラリーの黄金時代、真の冒険であり当時の世界ラリー・レイド選手権を構成するイベントの一つだったこの世界選手権はパリからダカールへのラリーで脚光を浴び、冒険に飢えた1000人以上の参加者を引き寄せた。
2019年、デウス エクス マキナとアドベンチャー・ライディングは、ラリーの黄金時代の精神をよみがえさせることを目的に、ラリー・ディ・サルディーニャを復活させることを決意。モータースポーツの歴史が刻まれたルートと同じルートを走るけど、今回は仲間同士の友好的なライドと同じように、アドベンチャーとして魅力的な環境で行われる。
僕がこの物語に参加するきっかけになったのは、デウス・イタリアの友人からの電話だった。大西洋の反対側にいるジュゼッペが、ミラノのオフィスから僕に電話をかけてきて、今年のスワンクに参加しないかと誘ってきた。ジュゼッペは、2019年にこのイベントが復活して以来、僕がイタリアへいく機会をうかがっていたことをよく知っていた。でも問題は、僕が参加したいかどうかではなく、参加に間に合うかどうかだった。
ラリーの直前までバハ400のレースでメキシコのバハ半島を数百マイル走る予定の僕が、その直後にカリフォルニアに帰ってヨーロッパ行きの始発便に乗るには24時間しかない。でも言うまでもなく、僕らはバハ400を無事に終わらせ、そのままミラノへと飛んだ。
到着後、僕は自分が知る限り一番背が高いイタリア人、オッタビオ・ミッソーニのガレージに直行。デウスのパートナーであり、ダカールのレーサー&完走者であり、ヴィンテージバイクのコレクターであり、そして何よりもナイスガイである彼は、僕がシェルコ450でレースができるよう、気前よく彼のバイクを貸してくれた。そして彼は、とてもクールで信頼できる80年代のホンダXR600をヴィンテージクラスに選択。そのバイクには、当時のマニュアルロールチャートも付いている。そして僕たちは、彼の身長に合ったエイプハンガーのハンドルバーを、僕の身長に合った(垂直方向の)ものと交換した。新しいメッツラー製タイヤを装着し、オッタビオが僕に彼の地元のトレイルでロールチャートシステムの簡単にレクチャーしてくれて、ロードブックスタイルのナビゲーションに慣れたところで、僕は象徴的なマルペンサ・モトクロス・トラックでのプロローグに出発した。
のんびりとしたライダーたちに囲まれて走るのは最高に楽しかった。それぞれのペースでクルージングを楽しみながらも、まるで一つの幸せな大家族のように一瞬一瞬を味わうことができたからだ。
そして、それらのバイクが並ぶ光景は圧巻だった。モダンで向かう所敵なしのヤマハ・テネレから、ホンダのXLやXR、スズキのDR、ヤマハのYYやXTといった80年代や90年代に愛されたクラシックバイクが並び、あらゆるテイストの2輪が揃ったバイクのパラダイスだった。
それから2、3日の話はちょっと省略するけど、その後の僕は、サルディーニャのバックカントリートレイルに苦戦することに。サルディーニャのバックカントリートレイルは、流れの速いトレイルや河川敷、シングルトラックやファイヤーロードもあれば、舗装路を短時間走ることもある。このパーティーは3日間続き、山頂から谷間、そして海辺まで島を横断した。毎晩、僕たちはビーチリゾートでくつろぎながら、おいしい料理とありったけのビールを片手に、戦いの話や危うかった瞬間の話、忘れられない瞬間の話をした。
壮大なフィナーレの会場は、サルディーニャ島にあるオルビアのフェリー乗り場。僕たちはそこでバイクを積み込み、バーで新旧の仲間たちと最後の祝杯をあげながら、イタリア本土に戻る船旅を楽しんだ。
スムーズなラリーコースとナビゲーションのチャレンジは本当に楽しかった。ほんの数日前に出場した恐怖のバハ400とは大違い。僕は自ら招いた苦しみに弱いタイプなんだけれど、このスワンク・ラリーで待っていたチャレンジとシャンパンの量は僕にちょうどよかったみたいだ。だって、もう既に来年参加するためのフライトも予約しちゃったしね!