Distinguished Gentlemens Ride( DGR /ディスティンギッシュト・ジェントルマンズ・ライド)というイベントを知らないのなら、インターネットに接続できない環境に住んでいる仙人のような人か、我が道のみを行く頑固モノかもしれませんね。
デウス・テンプルがあるインドネシアのバリ島は欧米諸国から遠く離れていますが、私たちはDGRのことを聞いたことがあるだけでなく、少なくとも8年、いや9年もそのイベントに参加しています。
DGRは2012年から開催されているチャリティ・ライドのイベント。世界中に散らばるカスタム、クラシック、ビンテージなスタイルのバイクたちと、そのバイクを愛するライダーが集まり、前立腺癌の研究と男性のメンタルヘルスケアの意識を高め、その活動資金の寄付を募ることが活動の目的。その活動を多くの人に知ってもらう為に、普段はイカツく見られてしまうバイカー達が、紳士淑女=ジェントルマンのように着飾ってバイクに乗り、パレードしています。
今年も、ここインドネシアでは多くのライダーがDGRに参加しました。インドネシアでは、寄付については多くの人が賛同してくれるのですが、その寄付とDGRが考える男性メンタルヘルスの意識を高めることはイコールではありません。そこで我々は、その意識を高めることにチカラを入れています。もちろんインドネシアの人達は、バイクで出かける口実を探しているので、パレードはその良い口実なんですよね。
5月22日に、世界同時開催されたDGRの開催当日。デウス・テンプルには、150人以上の熱心な参加者が集まりました。そしておいしいコーヒーを楽しんだ後は、バイクに乗ってパレードに出発。それを見た人々も、笑顔で迎えてくれました。
朝10時、インドネシアのバイクショップ/Malamadre GarageのDirkダークがマイクを握り、集まった参加者に向けて、DGRの目的とパレードランのルート、そこでの注意事項を説明しました。ダークは、彼の頼りになる仲間であるEloイロとイロが率いるMalamadre Garageのチームと、DGRバリのオーガナイザーを長く務めています。今年は、Treasure Garage、Nuelニューエル、Nugaraヌガラとそのチーム、Erico、Anoとデウスチャングーのクルーが、DGRバリの運営を手伝ってくれました。
パレードランでは、ライディングを楽しみたい。でも街中に向かうとひどい渋滞に巻き込まれてしまう。だから私達は山に向かうことにしました。目的地はKampung Kopi Campingカンパング・コッピ・キャンプ。デウス・テンプルから35kmほどしか離れていませんが、バリの交通事情はあまり良くないので、1時間45分以内に行ければラッキーというところです。
ルートは丘陵地帯と村落、そして広大な田園地帯を駆け抜けます。ヒンズー教の儀式や、穴のあいたアスファルト、ハイウェイで遭遇したトラックの渋滞の為に、それほどペースは上げられませんでしたが…そして目的地近くまで辿り着いたのですが、最後の400メートルはとても慎重に走りました。そこはあまりに路面が荒れていて滑りやすかったからです。
私達は、ビールが喉を通るのと同じ位早く(要するに、とにかく凄く早くっていう意味)レストランに流れ込みました。そこでは、ナシゴレンを注文する声がずっと聞こえていました。そしてバイクを見たり、おしゃべりをしたりしながら、この場所の美しさに圧倒されていました。東側にはバリ島で2番目に高い標高2,276mのバトゥカル山があり、その頂上は雲の中に隠れて見えませんでしたが、文字通り、360度、緑一色の美しい景色が広がっていたからです。
参加者の皆さん、本当にありがとうございました。主催者の皆さん、当日のマーシャルの皆さん、ありがとうございました。
コースを下見してくれた人たち、本当にお疲れ様でした。
そして、マティアと彼の経営する Blacksand Brewery ブラックサンドブルワリーには、言葉では言い表せないほどの感謝を捧げます。彼らは私たちに帰るための目的地を与えてくれただけでなく、私たちが到着するまでに彼らのおいしいケルシュビールを、たっぷりの氷で冷やしておいてくれたのですから。