ニコはカンパニア出身のパイロットで、ヨーロッパでいくつものトロフィーを獲得し、ロイヤル・エンフィールド・スライディング・スクールのインストラクター。イベントには、どんなタイプのバイクも、そして誰でも参加できる。
二輪への情熱が様々な大陸から来た人々を一つに結びつけ、ほんの数分を共にしただけの人々が一生の友になっていく様子を見るというのは、何物にも代えがたい。
ラヴェンナでは、オランダやフランス、イタリアの奥地からやってきたライダーたちに、砂埃とガソリン、そしてパスタとバーベキューでいっぱいの48時間を一緒に過ごしてもらうことが出来た。
その中でも特別だったのは、シドニーにあるデウス・エクス・マキナのモーターサイクル・ディレクター、ジェレミー・タガンがトラックにジョインしてくれたこと。彼は、スロットル全開で皆と一緒に楽しんでいた。
私たちを更に楽しませてくれたのは、同じパッションでも、それを形にする方法は一つだけじゃない、という違いを見ることが出来たこと。優勝を目指す人、仲間との交流を楽しむ人、スタイリッシュなライディングを楽しむ人、そのパッションと共に何を経験したいかは人それぞれ。その夜に注がれたビールの量と、バーベキューに群がる参加者たちの盛り上がりが、多様性と、それをまとめる共通の情熱の存在を証明していた。
なんといっても、これこそが「ダスト&ファン」の根底にあるスピリット。74年製のジレラ・アルコーレ150で参戦しても、表彰台には上がれない。でも、参加者たちの尊敬と賞賛を浴びることは確実なのだ。
バイクの世界では、残念ながら男性が圧倒的に多いのも事実。でも、この第一回大会では嬉しい変化が見られ、たくさんのガールズライダー達もレースに参加していた。ロイヤル・エンフィールド・レディース・カップに参加した命知らずのライダーたちは千差万別。経験豊富なライダーもいれば、初めてサーキットに挑戦するライダーもいた。フラット・トラックのサーキットに舞う砂埃のために特別にカスタマイズされたロイヤル・エンフィールド・スライディング・スクールのヒマラヤン400に乗り、彼女たちは1メートル単位で自分自身にチャレンジしていた。
賑やかだったのは女性陣だけじゃない。男性陣も大忙しだった。多くの人が、レースに勝つためではなく楽しむためにバイクに乗っているはずだが、いざ、準備万端でレースディレクターのGOサインを待っている瞬間がやってくると、背筋に流れる競争心というスリルを感じない人は一人もいないだろう。
全てのカテゴリーで全力の走りを見せてくれたライダーたち。最後まで野獣のように戦い、1位と2位が交互に入れ替わる、スピードと砂埃の壮大なドラマを繰り広げる彼らの姿は、息をのむほどの大迫力だった。
みんな、本当にお疲れ様!今回のラウンドにも沢山の人々に参加してもらったけれど、最終審査までにはまだまだ2日残っている。
次回の開催日程は7月23日と24日。
また同じ会場で、同じくらい楽しもうではないか。
Photo : Christian Fussi
Deus Ex Machina Italy