Galerie Muscari  ギャラリー・ムスカリ

Galerie Muscari ギャラリー・ムスカリ

エイドリアン・テレーと初めて会ったのは、2014年のWheels and Wavesイベントでした。当時、彼が乗っていた年季の入ったBSAは、よく故障していました。エイドリアンが道端で苦労していたので、彼のBSAを私たちの乗っていたバンで運んであげたのです。2018年にポー・グランプリで再会した時、彼はケータハムに乗っていました。一目で私たちと共通の情熱を持つと分かる、道端にいたこの羽振りのいい若者が何者なのか、もっと知りたいと思ったのが私たちの始まりです。
彼とのQ&A トークをお楽しみ下さい。

  

最初に簡単な質問ですが、自己紹介をお願いします。

私の名前はエイドリアンです。現在28歳で、フランス南西部に位置するセノッス市とポー市の間に位置する町で生まれました。アンティークのディーラーを10年以上しており、車、バイク、そしてサーフィンが大好きです。

デザインへの深い愛はどこから来ているのでしょうか?

祖母がよく美術館に連れて行ってくれたおかげで、私は絵画や、建築物、建築家が作る家具に出会うことができました。現在とは異なり、当時の家具は、家を設計した建築家がデザインしていたのです。

どのようにしてアンティークのディーラーになったのですか?

16歳の時、ある古物商との出会いがありました。当時、私はすでにアンティークにはまっていて、学校の授業にはあまり興味がありませんでした。自由、旅、人々との出会いを実感した時、これこそが自分に向いていると確信しました。サーフィンをすること、アンティークへの理解を深めることを通じて自分らしさを見つけられたのです。卒業後はアートの勉強をしながら、最初の小さなギャラリーをオープンしました。当時、多くの時間をかけてデザイン関連の本を読んだり、美術館に行ったりすることで、とにかく理解を深めることに努めました。

ショールームを拝見するだけで、バイクなどのメカ系の趣味もかなりこだわりがあることがわかりますね。

サーフィンは10歳頃に初めました。実はバイクに出会った時期の方が早く、
5歳の時には、ホンダのQR 50で実家の庭を走っていたんですよ。
兄と一緒に、バイクで遊ぶのが楽しくてずっとそこら辺を走ってました。

このMVアグスタについてお聞かせください。

以前はBSA A65ライトニングに乗ってたのですが、バイクに乗っている時間よりも道端で修理している時間の方が長くなってしまったので、これよりも壊れにくいと評判のイタリア製バイクに乗り換えたんです。修理や整備は本当に苦手で。。

このMVアグスタは72年式の350㏄です。セリアーニやフォンタナのようなレーシングバイクとして設計された素晴らしいバイクで、乗り心地はあまり良くないのですが、本物のレーシングバイクと違って公道を走ることができます。他にも旧車じゃないハスクバーナの350㏄とラヴェルダの750 SF1も持っています。

タンクにあるサインは何ですか?

以前のオーナーの一人である、ジャコモ・アゴスティーニにサインしてもらったものです。

ところで、私たちが座っているソファは本当に素晴らしいデザインと座り心地ですが、これは何か特別なものなのでしょうか? 

あくまで私の意見なのですが、このソファは、これまで人類が作った中で最も美しいものだと思っています。スイスのde Sede社の1974年の作品DS 600(革製)で、まさに芸術品そのものではないでしょうか。同社のソファは世界一長いソファとしてギネスブックに登録もされています。もし、興味があれば、Googleで検索してみてください。恐竜の彫刻を同社のソファが囲んでいる素晴らしい写真をご覧いただけますよ。

このランプやショールームにあるものは?

このランプには素晴らしい歴史があります。有名なピップストレロをデザインしたガエ・アウレンティのLocus Solusです。Locus Solusは、彼女がデザインした家具の限定コレクションで、テーブル、椅子、ランプ、ラウンジチェアなどがあります。アラン・ドロンが出演した有名なフランス映画La piscine(邦題「太陽が知っている」)にも登場しています。

後ろの木の壁は、1970年代にイタリアのアーティストであるジャンナ・ピンナが作った彫刻です。これは彼の工房で作られたもので、こちらのディスコボールは私の兄が今住んでいるイタリアの小さな村のナイトクラブで使われていたものです。

ヘルメット、もしくはシュガーポットのように見えるこのソファについて、詳しく教えてください。
 
これは、60年代にグンター・リスとヘルベルト・セルドルフがデザインした、とても有名なサンボールチェアという作品で、もともとは屋外用にデザインされたものです。カバーは全開、日差しが強すぎるときは半閉、そして全閉の3つのポジションが可能です。当時は、テーブルやミニバー、サウンドシステムなど、さまざまなオプションを付けることもできました。宇宙飛行が始まった時代のもので、私はとても気に入っていますが、家の中に置くのにはとても難しいのが玉に瑕ですね。

今まで手に入れられた中で最も魅力的な作品は何ですか?

今年でいうと、ピエール・スーラージュの小作品の他、クロード・ヴィアラの絵画、ピカソの陶器、エットレ・ソットサスのトーテム、ジョルジュ・ジューヴの陶器、シャルロット・ペリアンのドレッサー、Prefactoというピエール・グァリシェの椅子などです。一生手元に置いておきたいくらいです。

最後になりますが、エンデューロ・バイクは どうですか?最近乗ってますか?

最近また少しずつ乗っています。前回乗った後、かなりひどい状態になってしまって。2ヶ月前、友人と一緒に山に走りに行ったんです。泥や岩に苦戦しながらも頂上までたどり着き、その後、別の道を通って下ることにしたのですが、ご想像のとおり道に迷ってしまいました。その後、崖の上に出てしまい、バイクで降りることも登ることもできなくなったのです。やがて日も暮れ出し、電波も無いので、バイクを置いて歩いて降りることにしたんです。数時間歩いた後、なんとか友人に電話して迎えに来てもらうことができたのが不幸中の幸いでしたね。翌日、登山用品を持って戻り、ロープを使ってゆっくりと2台のバイクを下ろしました。
これがまさにエクストリーム・エンデューロといわれるやつですね。

  

Deus Tenement France, 
All photo by Alexandre Taube