'MENGEJAR PURNAMA' - CHASING THE FULL MOON 満月を追い求めて

'MENGEJAR PURNAMA' - CHASING THE FULL MOON 満月を追い求めて

バンドンという地名を聞くと、ツウならすぐに頭の中にその街の愛称「ジャワのパリ」が浮かぶだろう。なぜパリなのかというと、バンドンはインドネシアのファッションの中心地だからだ。しかし最先端を行っているのはファッションだけでなく、自動車のイベントのメッカでもあり、中でも有名なのがバンドン・バーベキュー・ライドだ。

そして今、バンドンで一番アツいイベントが、毎月、満月の日に開催される、キャンプをテーマにしたフラットトラックレース、「プルナマ・ランド(満月の国)」だ。バンドンに常設のフラットトラックサーキットができたのは素晴らしいことだ。出来立てのサーキットの最初のイベントに招待されて、自分たちもとても楽しみに待っていた。参加は俺だけじゃなく、バツカラスの仲間で「Roda-Roda Tuaコミュニティ」のメンバーも来ることになっていて、早く左周りでドリドリしたいと待ち焦がれていた。ちなみにデウス・インドネシアのロングボードライダーとして知られるディーン・ペルマナは、実はRoda-Roda Tuaコミュニティの幹部の一人でもある。

バンドンまで俺たちの古いバイクでは7時間もかかるので前日に出発した。デウス・バンドン店にはバリ島でのフラットトラックレース用に組まれたカワサキKLX 150を展示していたのだが、これはディーンの持ち物だったので、ディーンはこれを取りに行っての参戦となった。バイクに一日中乗っていると体のあちこちが悲鳴を上げ始める。古いバイクだから仕方がないことだが。街に到着するとさっさと用事を済ませ、カン・ヨセップに連絡をした。カンはバンドンのカスタムビルダーの一人で、プラマ・モーターワークの創設者の一人でもある。プラマ・モーターワークが、今回のプルナマ・ランドの仕掛け人だ。

この夜は彼の家に泊めてもらえることになったので、ありがたくお世話になった。翌日、早起きしてサーキットがあるバンドン郊外の西バンドン地区へ向かった。現地にすでに到着していた人たちに大きく歓迎され、その中にプルナマ・ランドのもう一人の発案者、アンドレ・レイもいた。テントを設営して荷物が全て片付いたところで、ディーンが早速コースに飛び出していった。まずはバイクの調子を見ていたが、なによりもコースそのものを試したかったようだ。何周かしていると、バイクとコースの感覚と、テールを流しながら左コーナーを抜けていくコツを掴んだようだ。しかし急に雨が降り出してきて、練習走行はそこで打ち切りになった。テントの中で雨雲が過ぎ去るのを待っていたが、結局本降りになって、そのまま日が暮れるまでずっと止むことはなかった。その夜、地面はドロドロだったが幸い雨は止んで、キャンプファイヤーをみんなで囲んでの夕食となった。我々はフラットトラックの経験は浅いが、それでもエキスパートたちと肩を並べあって話すのは最高の経験だった。夜も更けてくると冷え込んできたので、みんな顔を見合わせて、今日はもう休もうということになった。翌朝、天気は快晴だったが、サーキットはまだウェットだったため、乾くまで待つ必要があった。昼ごろになると、コースは走れる状態になっていた。ディーンは友人のマウラナとサンディと共に再びコースに飛び出していったのだが、最初の練習走行で思いっきり転倒し、文字通り真っ逆さまに吹っ飛んでいった。しかし、幸運なことに体もバイクも無事だった。

最初のレースにディーンはデウスの白いモトジャージを着て臨み、完璧なライディングで序盤からリードを奪い、そのまま1位でフィニッシュした。次のレースにはもっと強力なライバルが出場したが、ディーンは驚異のパフォーマンスで8人中2位でゴールし、準決勝への切符を手に入れた。大会もいよいよ佳境を迎え、ディーンもトロフィー獲得まであと一歩のところまで来ていた。ディーンが準決勝のスタートラインに並んだ頃、自然とみんな「ディーン、がんばれ!」と叫んでいた。準決勝も拮抗したレースになり、ディーンは再び2位を獲得、観客も大いに湧いていた。決勝戦が行われるまで、他のクラスのレースが行われていた。ディーンは自分よりずっとフラットトラックの経験が豊富な選手たちと並んで、かなり緊張した面持ちで決勝に臨むことになった。自分達ができるのは大声で応援することだけだったが、ディーンに自信を持たせるには十分な効果があった。

レース開始と共に一斉に飛び出すバイクたち。ディーンはフロントロウに躍り出て、他の選手からの執拗なプレッシャーを受けながらも、トップのポジションをキープしていた。最終ラップに入って、ホームストレートを疾走していくディーンに、我々もエキサイトしていたが、最後まで後続を抑えきることができず、少しだけ順位を落として3位フィニッシュとなった。優勝こそできなかったが、彼は本当によくやった。彼は限界までチャレンジし、結果を残したのだ。応援する側としても本当に楽しむことができた。フラットトラックのデビュー戦としては誇らしい成績だし、次回はもっと順位を上げ、あるいは優勝してしまうかも知れないだろう。

Photo’s & Original Bahasa Indonesia Text: : Giang GAW.
Additional Photos: Purnama Land & Hell Trust Indonesia

English Translation: Ano Mac