Opportunity & Occasion. Panorama, an artshow  偶然と必然 -  パノラマ アートショー by サトリア・ヌグラハ / デウス バリ

Opportunity & Occasion. Panorama, an artshow 偶然と必然 - パノラマ アートショー by サトリア・ヌグラハ / デウス バリ

2022年1月にデウス・ギャラリーの壁を飾るサトリア・ヌグラハの最新の展示「パノラマ」 ― その自信に満ちた構図の作品を見ても、彼のアイデアがどこから来るのか、その独特の世界観があることに気付く人はいないだろう。彼は近所の誰も住んでいない廃屋などを訪ね、素材になるものを厳選していく。余っている木の枝や折れた材木、欠けた石材、ひび割れたコンクリートなど、ほとんどの人はこうしたものを見ても、本来の用途に適さない不具合のある物として気にもとめないだろう。しかし、壊れていようと、朽ちていようと、人間が築き上げた文明の一部を成していた証でもある。サトリアは大都市の一部になれなかったこれらのアイテムをアトリエに持ち帰り、作品の質感やシルエット、あるいは両方に役立てている。

一般的なギャラリーがそうであるように、彼の個展にもどっと人が押し寄せるのではなく、潮の満ち引きのようにゆっくりと人が集まった。突然の雨でどこか避難する場所を探していたのか、あるいは夕方から友人と約束があり、それまでの時間つぶしで立ち寄ったのか、人によって訪れる理由は様々だろう。しかし、一晩中、客足が途絶えることはなかった。完璧にバランスの取れた、成熟した展示に、訪れた人は皆魅了されていた。自分の中にある深い記憶を呼び起こし、忘れていた時間を取り戻してくれた。見る人によって受ける印象は異なり、例えばこの作品では、子供の頃に海辺で遊んだ記憶やバリ島でのハイキングなどを私は思い出す。どの作品にも自信に満ちたシンプルさがあり、最終的には見る人が自分の記憶をそこに足して、自分なりの解釈ができるよう、余白が残されているのだ。

サトリアは偶然みつけた物事を違った角度から捉え、表面的にではなくもっと本質的にそれらを見ている。そして彼が都市の残骸から何を見つけ、アトリエに持ち帰り、「パノラマ」の優れた作品へと昇華させるのかは、運任せな要素が非常に大きい。

この展示では、ギャラリーの両端に2つのインスタレーションが設けられている。ここには彼のお眼鏡にかなった石細工や海辺のアイテムが無造作に積み上がっており、サトリアの芸術性の謎を解き明かしたい人のために、その舞台裏を見ることができる貴重な体験になっている。もし作品の売上で展示の成功を測るであれば、サトリアの「パノラマ」展は場外ホームラン級の成功だ。

Images by Didit Prasetyo Adiwibowo  Deus Bali