極致への道 - ロンボク ヒルクライム / デウス バリ インドネシア
マラッカはロンボク島北部に位置するのどかなインドネシアの村。北にギリ諸島を望むこのエリアは、高い崖と美しい白砂のビーチが混在し、ロンボク海峡の青く澄んだ海を見渡すことができる。
ロンボク海峡は、たどり着くこと自体がまるでミッション。バリ島からカーフェリーで海を渡り、170キロもあるからだ。でも、バイクのことならなんでもお任せのデデ・ジュンタは、そんなことでは動揺しない。デワ・ディマスに会うために、彼はデウス・テンプルのバイクに乗ってやってきた。デワは、この待望の大人気イベントのために特別に準備したモトクロスバイクを積んで、先に車で到着していた。
ヒルクライム・ロンボク・ウタラは気弱な人には向いていない。最高のルートを選びながら、バイクの馬力を解き放ち、自分自身とマシンを限界まで追い込み、200メートルの急な坂を登り切るという向こう見ずな人たちが挑む大会だからだ。
デワ・ディマスは、デウスKTM350を最高のパフォーマンスで走らせ、高回転の醍醐味を楽しんでいたが、彼の目と希望は、困難な崖の上で最高順位をキープすることに向けられていた。参加者たちの和気あいあいとしつつも珍しく厳かな雰囲気が、この日の過酷さと競争心を物語っている。太陽が昇り西に向かうにつれ、その日も競技もヒートアップし、エンジンの轟音と観客の歓声が午後遅くまで谷間にこだました。
ヒルクライムに参加したことのある人なら、ライダーが重力に打ち勝つことができず、ゆっくりと後方に滑り落ち、スピードを上げ、最後には崖のふもとに向かって苦しい表情を浮かべながら下がっていくのを見て、観客が恐怖で静まり返る瞬間があることをご存知だろう。
でも驚いたことに、ライダーたちの気力は決して衰えることなく、何人ものライダーが体を起こし、ほこりを払い、大丈夫だと合図を送ってきた。やる気を奮い立たせた彼らの微笑みが、アドレナリン中毒者たちのこの無謀な戦いにもう一度挑む準備ができていると、私たちを安心させてくれたのだ。
