RUFUS ルーファス

RUFUS ルーファス

バイクのカスタムとは輪廻転生だ。ただ、生き物ではなく機械という点だけが異なる。まずはフレームまで完全にバラして、そこから苦労して組み直し、新たな姿へと変貌する。願わくば、より優れた、よりイメージに近い形へと。クライアントの多くはそういうことを求めているのではないだろうか。

その例として、当時無名であった、ルーファスと呼ばれる、今は赤タンクの2014年式カワサキKLX250がある。これは2016年に最初にカスタムしたが、誰のニーズや希望にも特に当てはまらずテンプル(デウスバリ)に置きっぱなしになっていた。ただ、デウスの仲間やファミリーがバリ島に急にやってきて、壊れることのない信頼性のあるバイクが必要になったときに貸し出せるから、そういう意味では所有する価値のあるバイクだった。だからこそ、そこまでどうにかしなければいけないと誰も思っていなかった。

パンデミックで世界が活動を停止し、このバイクも埃が積もり始めていた。そこにやってきたのがリカルドだ。彼はサーフィンのスポットからスポット、そして宿まで、バリ島をウロウロするための足を探していた。パワーがあって、しかもお世辞にも整っているとは言えない島の悪路を物ともしない走破性も求めていた。

それでいてシンプルかつ洗練されたデザイン。おとなしい見た目で低燃費。その他にも、サーフィンの道具をくくりつけるためのリアラックや息子が二人乗りするための目立たないフットペグ、ウルワツまでの長い道のりを少しでも楽にしてくれるリアスプロケ、オフロードよりはオンロード寄りのタイヤなど、いくつか求めている機能があった。シンプルさを出すためにデザインフェーズでシンプルとは何か、ということを深堀りした。そしてよくあることだがシンプルを目指すと作業箇所がすごく増える。簡単に言ってしまえば、山程アルミの特注パーツやパネルを作ることになる。

バイクが完成した今、一歩引いて冷静に観察すると、タンクやフェンダー、ガード、サイドカバーの形やスタイルは、どちらかと言うと違う年代のバイクを彷彿とさせる。バッチリ決まったディープレッドの塗装の上に目立たないデウスロゴも入って、ついにこの赤タンクにも自分の場所が見つかったことがとても嬉しいと思った。

2021年 デウス バリ カスタム
カスタムサブフレームおよびシート。リアアルミリュックラック(着脱可)
  • 合金製ガソリンタンク、エンブレム、サイドカバー、ヘッドライトハウジング、フェンダー、チェーンガード、フォークガード、ラジエーターシュラウド、エンジンガード(全て手製)
  • US製FMF POWERCORE4マフラー&ヘッダー
  • US製ハンドルバー、Biltwellグリップ&デウス刺繍入り帆布地ハンドルバークッションカバー
  • フロント21” TK Racingホイール、リア19” TK Racingホイール。Shinko 70/30 Track Masterタイヤ
  • LEDヘッドライト、鋳造リアLEDテールライト&砲弾型ウインカー
  • 専用サーフラック(着脱可)
  • クロムメッキエンジンカバー、クランクケースカバー、スイングアーム
  • ディープレッド塗装
    Rider: Dylan Kaczmarek
    Bengkel Boys: Arwin & Koko
    Photos: Didit Prasetyo Adiwibowo 
    Deus Bali