Ruhe - ルーエ
オーストラリアの主要都市シドニーの、キャンバータウンにあるデウス・シドニーの工房では、ハンドメイドの金属製ロゴバッヂを造るというカスタムメニューは、ゴールデンスタンダードというか、最高級の定番というか、そんなメニューなのです。あ、ロゴバッヂには金じゃなくて銅を使うことが多いので、コッパー(銅)スタンダードって言った方が良いかなぁ、いや、分かりづらいからゴールデンスタンダードで良いよね?
今回のカスタムバイクも、そんなゴールデン(コッパー?)スタンダードをアレンジして、カスタムメニューの中心にした一台。ベースマシンはBMW R100R、オーナーはロブです。まぁ、ロブが宝石のスペシャリストであるジュエラーだから何か面白いアイディアがないかって考えてて、ロゴバッヂを銅で造るってアイディアをさらに発展させて、フレームに銅メッキするのはどうかなって?(←あ、このダジャレみたいなヤツは、カスタムのアイディアとは違うからね)となったのです。
このR100Rに搭載されている空冷の並列2気筒エンジンは、フラットツインと呼ばれ、BMWのシンボルになっています。しかも信頼性も整備性も高く、オンロードでもオフロードでも乗りやすく、しかも速い、とても良いエンジンとして知られています。
そしてカスタムのスタート。車体から不必要なパーツを取外していくのですが、いろいろと軽量化を進めたら、もうベース車がなんだか分からなくなるほどシンプルに。さらにデウス・シドニーのメインカスタムバイクビルダーのジェレミー・タガンは、タンデムシートやシートカウルが装着されるリアフレームを小さく造り替えました。そのリアフレームに合わせてアルミ製のシートベースを使ったタックロール仕上げの薄型シートも製作。そのシートから絶妙な位置に配置できるよう、リアフレームの後にテールライトをセット。リア周りを美しく仕上げたのです。
BMWのフレームやエンジンは、オーソドックスでオールドスクール。フレームのリア周りをアレンジしても、エンジンをリフレッシュしても、その雰囲気が変わることはありません。だからというワケではありませんが、コクピット周りはモダンな雰囲気が不可欠でした。そこでメーターはMotoscope Pro、スイッチ類はMo.switch mini、ウインカーはグリップエンドに装着するMo.blaze Bar-end Indicatorsをセットし、それに合わせてバックミラーはMo.View Glassless Mirrorsを採用。それらはすべてドイツのMotogadget (モトガジェット) 製です。またブレーキ&クラッチのマスターシリンダーはBERINGER(ベルリンガー)製をチョイス。ハンドルはRIZOMA (リゾマ) 製で、スロットルはMessner Moto (メスナー・モト) 製、ヘッドライトはKOSO (コーソー) 製のThunderbolt Headlightを選びました。
エンジンはフルトランジスタ化して信頼性と点火力をアップ、排気系は中間パイプを使用するも2本出しのショート管、キャブレターはスタンダードのままですがエアクリーナーボックスを取り外しDNA製のPod Filtersをセットしました。またアルミ板金のスペシャリストであるMotoRRetro(モーター・レトロ)が製作したバッテリーケースは、スタンダードのエアクリーナーボックスをアルミ板金で造り替え、その中にバッテリーを収めています。
そして前後足周りも一新しました。フロントにはフロントフォークの内部パーツを変更して性能アップを図るYSS製フォークアップグレードキットを採用。リアにはIKON SUSPENSION製にアップグレードしています。そしてタイヤはContinental(コンチネンタル)製のTKC80を装着。リムも新調しました。
このカスタムにおいては、金属加工の専門知識を提供してくれた、バイクのオーナーのロブの存在無しでは成立しませんでした。宝石のスペシャリストとしてさまざまな専門知識を提供してくれたロブに感謝ですね。カスタムバイクに、そのような知識を持ち込むコラボレーションは珍しいこと。だから今までにない、こんな素敵なバイクを造ることができました。
Build by Jeremy Tagand
Photographer Chris Grundy