Second Place At The 2022 Baja 500

Second Place At The 2022 Baja 500

2022年度 バハ500で2位を獲得! 

今年4月に開催されたサン・フェリペ250は、どちらかといえばしめやかに幕を閉じてしまった。もちろん生還はしたけど、プライドとお財布にとっては大きなダメージとなる結果に。でも、そこには、ダメージ以上に大きく残ったポジティブな気持ちがあった。次のレースでまた頑張りたい。そう、僕たちに残されたのはバハ500へのモチベーションだった!

サン・フェリペ250で5位となり、エンセナダで開催されるバハ500のスタートポジションは理想的とは言えないものになってしまった。1分間隔のスタートで5番手となると、先頭のバイクから4分遅れてのスタートになってしまう。そして、不利となる条件はそれだけには止まらなかった。毎朝山の上からエンセナダに降り注ぐ濃霧と、4台のバイクの埃が視界を妨げるというのは、最悪な状況だったからだ。この霧と埃のコンビネーション、そして朝4時のスタートということもあり、フェンダーから先は殆ど見えない状態になってしまった。更には、普段は役に立つ強力なヘッドライトが霧に当たり、それが反射して目に入ってくるという事態に。そこで僕たちが考えたのは、ルートを記憶し、マッスルメモリーにコースをナビゲートさせ、最初の65キロを用心しながら走るという戦略だった。

今回のレースでは、前回のレースで得た教訓をもとに計画を立てることにした。準備と計画を活かすことが出来れば、しっかりとゴールできるはず。レースというものは、あくまでも副産物だから。実際の話、誰が何と言おうと、ブーツとヘルメットに身を包み、スタートフラッグが振られた瞬間、男たちは少年になり、競争心が芽生える。でも僕たちは、競争心を丁寧にしっかりと操り、それをプランという冷静な基盤と上手くマッチさせることを思いついた。そうすることで、何か偉大なものを生み出すことができるんじゃないかと思ったんだ。

トリッキーなコンディションだったにもかかわらず、10キロ地点に到達するまでに4位に浮上することが出来た僕は、その後、コーナー、段差、岩、穴など、1.5キロごとに、霧が上がって視界が良くなることを祈りながら自分の道を選びながら進んでいった。でも今度は、太陽が霧を負かし、山の上から空を割り差し込んでくる太陽に目をやられてしまうとういうハメに。それに比べたら、霧の方がまだマシで、心地よく感じられるほどだった。僕が初めてピットクルーとコンタクトを取ったのは、レースマイル38地点。僕たちの戦略は、止まる必要がない限り走り続けるというものだったから、僕は止まらず彼らの前を通り過ぎながら、歓声とシャカを交わし、それが皆に全てが順調であることを確信させた。そう。僕が止まらなかったのは、計画がちゃんと期待通りに展開されていた証拠!そして次の50キロでは、興奮と不安の両方が混ざった、僕にとってレースの中で一番の大きなチャレンジが待ち受けていた。

高速道路でハイビームを浴びるくらいの日差しが、僕の目に容赦なく差し込んでくる。一週間前からこの区間を何度も走り、スムーズで安全なラインを探し、ライバルたちを追い越す術を見つけていた僕に、90キロ付近で、ようやくそのチャンスがおとずれた。それ以前のトリッキーなセクションで鍛えられ、工夫をするというクリエイティブな知恵を身につけていた僕は、レースラインと平行した滑らかな道を見つけ、30秒ほど差を縮めることに成功する。ライバルに気付かれることなく、3位に躍りでることができたこの時は、まさに僕たちの努力が報われた瞬間だった。

ファン、観客、ピットクルーがチームメイトとバイクを目にするのを待ちわびる中、僕はレースマイル68の地点に飛び込んだ。数秒経ってキアランとピットストップを見つけると、瞬時にキアランにバイクを渡した。キアランは砂埃を巻き上げながら2位のバイクを追いかけていく。そして数十キロ先で、一進一退の攻防を繰り返しながら2位に乗り出し、そのままその位置をキープするキアラン。この時点で、1位のバイクは、スタートが1番最初だったこと、そして埃に視界を妨げられなかったことを利用して、僕たちと20分もの差をつけていた。でも、バハというのは、一瞬でその状況をひっくり返すことが出来る場所。僕らは勢いを保ち、そのまま走り続けた。

爽快な走りを見せ、バイクをピットに持ち込み、ライダー交代を行い、首位のチームにプレッシャーをかけ続けていたキアランに続き、次の225キロを走ったのはニック。彼もまた相手に脅威を与え、距離を縮めていく。僕たちの計画も上手く機能していたし、バイクも快調だったから、僕たちはクリーンな走りを続行することができた。そしてレースマイル360地点で、再び僕の出番がやってくる。僕はバイクにまたがり、そのままフィニッシュへと突っ走った。

ここからの160キロは、これまでにバハをバイクで走った中でも最高に素晴らしい思い出!11時間4分のレースの後、僕はチームをゴールへと導いた。結果は、トップとたった131秒後という、僅差でのフィニッシュ!2位という順位がこんなに嬉しかったことは今回が初めてだ!

僕たちは、レースプログラムの全てを自分たちで協力して作り上げ、その全てを実行することができた。友人たちや現地のファミリーたち、そしてブランドの人たちからの大きなサポートには大きく助けられたし、そして何よりも、この野心とやる気に溢れた素晴らしいチームの皆でやり遂げることができたのは、本当に素晴らしかったと思う。

もう既に、9月のバハ400が楽しみでしょうがない!