Second Place At The Baja 1000

Second Place At The Baja 1000

デウス アメリカ チームが世界で最も過酷と言われる二輪の砂漠レース バハ1000のレースで2位を獲得 

切れる息、完全にリラックスした身体、叫ぶ心。22時間の予定のうち18時間が経過した頃、1000マイル/ 1609kmに及ぶレースで、僕はバイクのハンドルを握り、スロットルを全開にし続けた。低体温症が忍び寄り、疲れと鈍さを感じる。この日の一番の誤算は、たった一枚のベストと、時折身体を動かして血流を良くすることだけで身体を温めていたことだった。バハ半島の砂漠は真夜中には氷点下まで気温が下がる。今となっては言うまでもないことだが、あの時はスピードを出せば出すほど早くゴールできると自分に言い聞かせていた。

残り100マイル/ 160kmの最後のピットストップに到着して、一瞬ほっとした。山を登り続ける前に給油するため立ち寄っただけだったけど、その地形は想像を絶するほど荒々しく、言葉ではとても説明しきれない。気温は急降下し、汗で体が震えるほどだった。睡眠不足と疲労でボロボロの僕とバハ半島の対決。皆知っての通り、最終ラウンドで勝利できるのは、どちらか一人だけだ。

このステージ、つまり最後の追い込みで、僕は心の奥深くに入り込んでいった。最もダークな時間の中で繰り広げられる、サイケデリックな経験。二度と戻らないと自分の心に誓う場所。時間が過ぎ、やがて太平洋の漆黒を背景に輝くエンセナダの街が現れると、心の闇は静まり、安堵感が温かい毛布のように僕を包み込んだ。ゴールの鐘が鳴り、戦いは終了。あの葛藤は既に遠い記憶となった。

「来年が待ち遠しいよ」

僕は観客に向かって言った。きっと、それは本心だったと思う。

握手、完走者に与えられるメダル、チームメイトとの祝杯のビール、そしてやり遂げたという満足感。2022年度バハ1000の結果は、プロモーターサイクルで2位だった。

Forrest Minchinton フォレスト・ミンチントン

 

Rider Ciaran Naran  キアラン・ナラン & Forrest Minchinton フォレスト・ミンチントン
Photo & Film Jack Fraser ジャック・フラスター