デウス・スワンク・ラリー・オン・アイス | フレンチアルプス 編
オフロードから 60年代のビンテージ車両で、1日中どんなコースだって走り切る、それが僕らの得意分野。ひと昔前には、冬のシーズンも注目を集めるイベントをやっていたものだが、そろそろデウス・スワンク・ラリー・オン・アイスを復活させる時が来た。今回の会場はシャンルッセのGTRサーキットコースだ。
まずはデウス・スワンク・ラリーを知らない人のために説明させてほしい。いたってシンプル、ライダーがストップウォッチで自らタイムを計るジェントルマンたちのレース、誰もズルする者はいない。そもそも、このイベントの目的は順位じゃない。カッコよさを追求し、そして楽しむことがテーマだ。今回のイベントもそう、最高にクールなライダーたちや憧れのビンテージバイクが一堂に集まってくれた。
今年の冬は天候が変わりやすい。そこでコースが低温になる早朝と夜間がレースに最適と判断した。しかし、すぐに気温は上がってしまい、数時間も経たずにサーキットの雪が湿り始め、滑りやすいコースにみんな苦労した。それでもイベントの熱気が冷めることはなく、アマもプロも、カーブでは滑り、雪に沈み、上り坂では立ち往生しながら、バイクを必死に前に進める姿がかえって盛り上りを見せてくれた。そうして前半戦のライダーたちは、この酷い(けど楽しい)コンディションをめげずに最後まで走りぬく、という強い意志で立ち向かっていた。
氷雪との闘いを終えた後は、次なるレースへの腹ごしらえとして、プライベートロッジで用意されたラクレットチーズ食べ放題のランチが提供された。溶けたチーズでお腹いっぱいのライダーたちを、次なるサプライズが待ち受ける。
それはスノーモービル。ライダーにとってスノーモービルは、氷上でバイクに乗るのと同じぐらい魅力的な存在だ。何度も転倒し、リフトに乗ったスキーヤーから大笑いされたとしても、アクセル全開で飛ばすスノーモービルは最高だ。
夕暮れが迫る頃、霧は濃くなり、トラックでの第2章が始まる。前半戦の経験のおかげか、それともランチのチーズのおかげか、この後半戦では、みんな雪上コースの特徴を理解し、ベストタイムを出そうとストップウォッチを握りしめる白熱したレースとなった。レースの最中は、60年代のトライアンフが放つ轟音や90年代YZの金属音、それから観客たちの歓声がレース会場に響き渡っていた。ライダーたちは、まるで駄菓子屋にいる子供のように、純粋にレースを楽しむ気持ちで溢れている。夢のような時間が過ぎていった。
デウスを信頼し、デウス・スワンク・ラリー、そしてすべてのプロジェクトをずっと支えてきてくれたヤマハに、特別な感謝を述べたい。
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