The Ago TT - from the new Deus book IN BENZIN VERITAS

The Ago TT - from the new Deus book IN BENZIN VERITAS

The Ago TT

イタリアの女優ジーナ・ロロブリジアーダの柔らかで美しいボディライン、もしくは紀元前にイタリアで起こった第三次奴隷戦争をモチーフにした映画「スパルタカス」に主演した俳優カーク・ダグラスのマッチョな筋肉のような、とにかく美しいボディラインを持つ「The Ago TT/ジ・アゴTT」は、デウスUSAのチーフビルダーであるウーリーこと、マイケル・ウーラウェイの手から誕生したカスタムバイクです。

ベースマシンは並列3気筒エンジンを搭載するMVアグスタのネイキッドマシン/ブルターレ800RR。ウーリーはそのマシンをベースに1960年代から70年代にかけてロードレース世界選手権(MotoGP)で活躍したMVアグスタというイタリアンブランドへのオマージュとしてこの車両を製作しました。ウーリーはこれまで、幾度となくイタリアンバイクをカスタムのベース車両に選び、多くのライダーを虜にしてきました。とくにカスタムバイクの顔とも言える燃料タンクの造形には、多くの知識とテクニック、そして情熱を注いできました。

The Ago TT」はMVアグスタがレースシーンで活躍した初期に開発した小排気量エンジンを抱くレーシングマシンの造形をモチーフにデザインしています。複雑な曲面で構成された燃料タンクは7ピースのアルミ鋼鈑を叩き出し、それを溶接して組み合わせています。熱を加える溶接は、繋ぎ合わせる鋼鈑を歪めてしまうため、溶接とともに、歪んだ鋼鈑を平らに均す板金加工の高い技術が求められる難しい作業なのです。構成パーツが増えれば、その難易度はさらに増していきます。
また小さく、しかし存在感のあるシート&シートカウルは、新たに製作したシートレールの上にセット。ステアリングヘッドから、タンク底辺を伝ってテールエンドへと流れる、少し跳ね上がった水平基調を造り上げました。
排気管では、MVアグスタのレーシングマシンの特徴である、曲線を描くサイレンサーを再現しました。ウーリーはCone Engineering製の27インチメガホンマフラーを輪切りにして、それを30ほどのパーツに分け、その切り口の角度を微妙に調整して再度溶接し直すことで、この美しい排気管を造り上げました。

この「The Ago TT」は完全なレーストラック用マシンです。したがって灯火器類やスピードメーター、ミラーなども存在しません。そしてカリフォルニアのレーストラックでウーリー自身がシェイクダウンを行い、各部を調整してオーナーの元に納車されました。「The Ago TT」を走らせた感想をウーリーは「エンジンもハンドリングもレスポンスがよくて、かつてのグランプリマシンみたいだった。ピットに戻って自分がOKを出せば、試乗は終わってしまう。だからピットには戻りたくなかったくらいだ」

BIKE BUILDER: Woolike - The Emporium of Postmodern Activities, USA
DONOR BIKE: MV Agusta Brutale 800RR 
CHASSIS: Stock main frame with chromoly subframe; 
stock single-sided swingarm
ENGINE: Custom exhaust using Cone Engineering megaphones & RSD baffles & end caps
BODYWORK: Hand-formed alu-minium tank, radiator covers, seat unit & front plate
SUSPENSION: Stock Marzocchi forks in custom Durelle CNC triple clamps; Öhlins shock
WHEELS & BRAKES: Stock wheels; Pirelli slick tyres; radial master cylinders, 4-piston calipers & cast iron discs all Beringer
DETAILS: Scitsu tacho; LSL clip-ons; Rizoma rearsets; 520 chain conversion; Monza fuel cap
@wooliesworkshop
@deusemporium
Photo: @nevin.pontious