2012年式のトライアンフ・ボンネビル・スクランブラーをベースにしたこのマシンは、スクラングラー的要素と、ロードバイク的要素のふたつをミックスして製作。カスタムを担当したのは、デウス・シドニーのチーフビルダー/ジェレミー・タガンです。
一番の特徴は幅広くなったリアホイール。これはイタリアのバイクブランド/アプリリアのスポーツモデル「RSV4」用を移植しています。しかしフロントにはスクランブラーのスタンダードホイール、19インチのスポークホイールを装着したまま。一見、アンバランスに見える選択ですが、ジェレミーのイメージは明快でした。レースシーンにおいて、体制が整った強豪チームじゃなくて、情熱はあるけどお金がない若きプライベーターたちは、とりあえず履けるホイールをかき集めてきてレースをするもんだから、フロントとリアでホイールのデザインが違っていたりする。今回のマシンでは、それをイメージしたんだ、と。なるほど!そしてジェレミーの創造力は、別の場所にも。通常、エンジンの血液とも言えるエンジンオイルを冷やすためのオイルクーラーは、走行風が効率よく当たるエンジン前方に配置します。でもそこにオイルクーラーがあると、シンプルな車体のシルエットが崩れてしまうのです。そこでジェレミーは、スタンダードフレームを加工して、シート後ろでループ状に繋げたリアフレーム内にオイルを通して、それをオイルクーラー代わりにしてしまったのです。何というアイディア。だから、こんなにもシンプルな車体に仕上がっているんですね。
そしてシートは、レーシングスーツの老舗である日本のクシタニ製防水レザーを使用しています!
ジェレミーが着ているモトジャージはこちら
BIKE BUILDER: Jeremy Tagand - The House of Simple Pleasures, Australia
DONOR BIKE: 2012 Triumph Scrambler
CHASSIS: Modified frame with oil-in-frame conversion
ENGINE: Custom 2-into-1 exhaust; K&N air filters
BODYWORK: Stock tank; alloy front fender
SUSPENSION: Stock forks with uprated internals; Öhlins shocks
WHEELS & BRAKES: 17in Aprilia RSV4 rear wheel; stock 19in front wheel; Bridgestone Trail Wing front tyre, Shinko Verge rear tyre; stock brakes
DETAILS: Motogadget speedo; Motogadget M-Unit; removable surfboard racks; Kushitani leather seat; Pazzo levers; custom battery box
@jeremy.tagand
@deushouse
Photo: @thomaswalk