Vireo Runner (Kawasaki W650)

Vireo Runner (Kawasaki W650)

このW650は、Deus Japanとして初めて手がけたドナーであり、
同時に、職人としての姿勢を真正面から問われた一台でもある。

オーナーから求められたのは、派手さでも性能でもない。
「長く乗れること」
「年を重ねても似合うこと」
そして、乗るたびに違和感のない形であること。

ブラフシューペリアを思わせるブリティッシュクラシックの空気感を軸に、
フロントにはスプリンガーホークを搭載。
ただ取り付けるのではなく、W650のフレームライン、全体の重心、視覚的なバランスを何度も見直しながら、
自然にそこに在る形を探った。

ラインが1本ズレルだけで、バイクの表情は大きく変わる。
派手なパーツよりも、
「削らない判断」
「足さない勇気」
それがこのビルドでは何より重要だった。

全体のデザインは、作り手の自己主張を抑え、
時間が経つほどに価値を増すことを目指している。
新しさではなく、正しさ。
流行ではなく、必然。

走りも同じだ。
速さを追わず、鼓動を大切にする。
スロットルの開け始め、車体の揺れ、エンジン音。
そのすべてが、穏やかに、正直に返ってくるよう仕上げた。

サイドバッグを装着できる仕様とし、
日帰りから一泊のツーリングにも対応。
カスタムでありながら、生活から切り離さないことも意識している。

このバイクは、完成した瞬間がピークではない。
乗られ、使われ、時間を重ねて完成していく。

Vireo Runnerは、
職人の手を離れたあとも、
オーナーの人生と共に育っていくW650だ。

作る側として、
その余白を残せたことを誇りに思う。