この新作のカスタムバイクは、デウス・シドニーのチーフ・カスタムビルダー/ジェレミー・タガンの真骨頂ともいうべきトランスフォームっぷりです。
ジェレミーがこのベースバイクであるヤマハTW200を納屋で見つけたときは、それはそれはヒドイ状態でした。それが、こんなにピカピカに磨き上げちゃうんですから。
何年も浜風に乗った塩とクモの巣に覆われ、それはTDub(ティーダブ/TWの愛称)に優しくなかったんでしょうねぇ。エンジンを開けてみると、中からは紙吹雪のように、いや崩れたパイ生地のようにサクサクな金属の破片で埋まっていて、その他のパーツの状態もヒドイもんでした。
しかしジェレミーは、創意工夫とマゾヒズムの間のどこかに、放置された哀れなTDubを生まれ変わらせたいという願望があったんですね。ということで、ジェレミーは、そのTDubのカスタムをスタートさせたのです。
外装類やエンジン、前後サスペンションなど、外せるパーツをすべて剥ぎ取ったあと、ボルトの一本一本をチェックして、再利用と廃棄を判断。再利用するボルトはすべてクリーニングして亜鉛メッキを施しました。
エンジンはオーバーホール後、外装をクリーンナップ。カスタムエキゾーストとケーヒン製FCRキャブレターをセットしました。もちろんフレームもオールペイント。車体左側にボードラックを取り付け、サテンブラックのパウダーコーティングを施しました。前後ホイールはリムとスポークを交換し、1970〜80年代に人気となったオフロードバイク/ヤマハXT500に似たシャンパンゴールドのセラミックコーティングを施しました。
TDubの定番カスタムとも言えるロングスイングアームが装着されていましたが、車体の雰囲気に合わせて少し短くして車体にセット。YSS製のリアショックを選びました。サビだらけだったフロントフォークはサビを落として再メッキ。フロントフォークのボトムケースにはパウダーコーティングを施しました。
シートはビンテージモトクロスに出場するバイクを参考にシェイプ。表皮はグリップ性の高い素材を選び、サイドには高級感のあるアルカンターラをチョイス。その2つの素材を赤いステッチとブランドロゴでまとめ上げました。燃料タンクはXT500のカラーリングとグラフィックで仕上げています。
ハンドルはプロテーパー製EVOトラッカーバーをチョイス。バーパッドにはモトガジェット製のMotoscope MiniメーターとMo.signインジケーターをはめ込みました。メスナー・モト製のスロットルとスイッチ、モトガジェット製のハンドルグリップがコクピット周りを完璧に仕上げている。
パズルの最後のピースは電装系。ウインカーにはケラーマン製ジェットストリームインジケーターをチョイス。ハイサイダー製のベイツスタイルLEDヘッドライトが前方を明るく照らします。
Built by Jeremy Tagand
Photos by Chris Grundy