ブランド創設者 デア・ジェニングスが、今シーズンのコラボアーティスト、ボブ・ケイトについて語る。
2023年春夏コレクションにフィーチャーされた今回のアーティストは、アメリカで有名なグラフィック・デザイナー、Bob Cato ボブ・ケイトだ。ある日、デウス エクス マキナ 創設者のデア・ジェニングスは我々にこの話をしてくれた。
実は、ボブは私の義理の兄、ファミリーの一員だった。私の姉ケイトが、彼の妻だったからだ。1980年代、二人はニューヨークで互いに雑誌の出版社で働いていた時に出会い、結婚した。当時は、誰かの経歴をグーグルで調べることなんて出来るはずがない。だから、彼の素晴らしいキャリアについて知るためには、彼は謙虚に話すけど実はすごい逸話を彼から聞かせてもらったり、彼のニューヨークのアパートにあった作品集を見たりしながら、彼の偉業の点と点を自分でつなぎ合わせていくしかなかった。
そうしていく中で、私が育ってきたポピュラーカルチャーの多くに彼のアートが関わっていることを発見したのは驚きだった。70年代にCBSレコードとユナイテッド・アーティスツで働いていた彼は、青春時代、私にとって大きな意味を持っていた数々のものに、決して消えることのない足跡を残してきた人物だったのだ。周りあるのは父の農場だけという環境の中で暮らし、意気消沈していた十代の私は、ロバート・クラムが手がけたビッグ・ブラザー&ザ・ホールディング・カンパニーの『チープ・スリルズ』のジャケットを何時間もかけて研究していた。「人生には、トラクターを運転したり羊を追いかけたりするよりも大切なものがたくさん存在している」という魅力的なメッセージを、私に送ってくれた作品だ。
何年も経ってから、ボブは私に、彼がクラムに小切手を送り、そのジャケットのアートワークを依頼したことを話してくれた。悲しくも、クラムはその音楽を気に入ってはくれなかったそうだが、その話は置いておこう。ボブは、彼のグラフィック・ビジョンによって、音楽と出版に様々な角度から貢献してきた。彼と知り合えたなんて、本当に光栄だ。今回私たちが使用した彼のアートは、彼が私にくれたポスターに描かれたもの。そのポスターで、彼は自身のジャズへの愛を表現している。
Dare Jennings デア・ジェニングス
このカプセルコラボレーションは、デウス浅草・公式オンラインストアで是非チェックしてみて下さい。
そして、ボブが存分に彼の才能を発揮してくれた楽曲の数々は、
Deus Recordsの Spotify でプレイリストをお楽しみ頂けます。
革新的アートディレクター、ボブ・ケイトの世界から、多彩な音楽のミックスをお届け。レコードジャケットのデザインを芸術として確立させたケイトの功績は計り知れない。ケイトの遺産は、自身の写真、筆づかい、非の打ちどころのないデザインセンスを通じて彼が命を吹き込んだ音楽の中で生き続けている。