モトグッツィT3という車両をググれば分かると思いますが、あのクルーザーにどんな魔法を掛けたら、こんなカフェレーサーになるのか!? 本当に不思議でなりません。モデル名にある“Tagand Special”でわかるとおり、この車両はデウス・シドニーのチーフビルダー/ジェレミー・タガンが製作したマシン。ベースマシンは排気量750ccの、1975年式のモトグッツィT3です。モトグッツィのスタンダードバイク的な位置づけでしたが、当時大きな二輪市場だったアメリカに向けて、クルーザー的なディテールが追加され、後に“カリフォルニア”というモトグッツィを代表するクルーザーモデルとなりました。
そのT3をベースにカスタムが行われたわけですが、ビルダーのジェレミーはこのイタリア×アメリカン=マカロニウエスタンなバイクに、英国車のディテールをくわえて、カフェにしてしまったのです。特徴的な燃料タンクこそ汎用ですが、ヘッドライトカウルはノートン・マンクスのレーシングマシンに採用されているものであり、シートカウルはトライトンのレーシングマシンなどを製作したドレスダ・オート製のトライトン用であり、跳ね上がったサイレンサーはBSAゴールドスターと同スタイル。まぁカフェレーサーはイギリス発祥ですから、イギリス製アイテムでカスタムスタイルを固めていけば、まぁ間違いないですね。
モトグッツィは、このT3の後に縦置きV型2気筒エンジンの排気量を850ccに拡大し、そしてシリンダーを丸型から角型に変更します。だからこの丸型シリンダーは人気なのです。その丸みを活かし、この車両のために製作したアルミ製のサイドパネルやヘッドライトカウル、それにサイレンサーなどの丸みのあるパーツをリンクさせ、全体をバランスさせているのです。
BIKE BUILDER: The House of Simple Pleasures, Australia
DONOR BIKE: 1975 Moto Guzzi T3
CHASSIS: Stock main frame with modified seat rails; stock swingarm
ENGINE: Custom stainless steel exhaust with Goldstar silencers; Dell’Orto 30mm carbs with bellmouths
BODYWORK: Aluminium tank; Manx Norton front cowl; modified Dresda Triton tail unit; alloy front fender
SUSPENSION: Stock forks; Matris shocks; Tarozzi fork brace
WHEELS & BRAKES: Refurbished 18in wheels; Metzeler Lasertec tyres; Brembo brakes
DETAILS: Tarozzi rearsets; Ace bars; Thruxton side plates; Kellermann indicators; Acewell Speedo; custom leather seat sump guard
@jeremy.tagand
@deushouse
Photo: @thomaswalkphotos